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【BIPROGY FORUM 2022 #3】 データ連携から生まれる官民共創

BIPROGY FORUM 2022で開催された「企業とサービスが共に歩む世界を創るーデジタルを繋ぐことによるサステナブルな社会創出に向けて」をテーマに、xID株式会社CEO日下さん、BIPROGY向井のセッションを全3回に分けて掲載します。

#3では、企業同士の共創を促すプラットフォーム「Dot to Dot」について。官民共創を推進していくために必要な姿勢や連携の具体的なお話を伺っていきます。


▼これまでの記事はこちら
#1 【BIPROGY FORUM 2022 #1】 企業間でつくる「共創」とは

#2 【BIPROGY FORUM 2022 #2】 「人間中心の社会」とは

目 次
業種を超えて顧客のデータを共有する「Dot to Dot」
官民共創で進める「個人データの連携と活用」
まとめ:企業とサービスが共に歩む世界

日下 光

日下 光

(くさかひかる)

xID株式会社

Co-Founder / 代表取締役CEO

2012年にxID社を創業。
創業時からブロックチェーン技術に注目し、政府機関や民間企業のプロジェクトの企画・提案をブロックチェーン黎明期より携わる。
2017年よりエストニアに渡り、eResidencyや政府機関のアドバイザーを務める。
石川県加賀市の次世代行政実現に向けたDXアドバイザー。静岡県浜松市フェロー。2021年度総務省地域情報化アドバイザー。東京大学近未来金融システム創造プログラム講師

向井 剛志

向井 剛志

(むかいつよし)

BIPROGY株式会社

戦略事業推進第二本部 事業推進二部 部長

1998年に日本ユニシス株式会社(現:BIPROGY株式会社)入社。
地域活性化に資するDXを推進するため、以下活動に参画中。
「柏の葉スマートシティコンソーシアム」UDCKTM 業務執行理事。
「一般社団法人長野ITコラボレーションプラットフォーム(Nicollap)」理事。
「一般社団法人データクレイドル』」理事。

業種を超えて顧客のデータを共有する「Dot to Dot」

向井

パーソナルデータを「必要な時に・必要な人の為に・安全に・流通する」プラットフォーム「Dot to Dot」を5月9日にプレスリリースしました。

Dot to Dotを使って、多くの事業者さま・業種を越える異業者さまとの対話を促進することを目的として提供しています。
このサービスは、何かを解決するソリューションではなく、企業さま同士、人と人とが対話する触媒です。そのため、できることは非常にシンプルで、3つの要素から成り立っています。
1つ目:「本人の確認済みデータ」として、あなた(本人)であるという真正性を担保します。
2つ目:「本人の同意済みデータ」は、データを連携する際、必ず本人の同意をもって連携します。
3つ目:「N対Nのデータ連携」は、パーソナルデータという言葉は使いますが、情報銀行ではございません。「データが分散された状態でセキュアに連携していく」これを、実装する為の仕掛けです。

前項で、エストニアの話もさせていただきましたが、エストニアのX-Roadを参考にしながら、日本風にアレンジしてご提供するサービスと考えていただければと思います。

Dot to Dotの企業さま同士の対話の中で、「新しい共創を生み出す」「その共創の先にある、新しいサービスを生み出す」……そんな活動に、ぜひ私たちも参加させていただきたいと思いますし、企業の皆さまがイノベーションを起こす為の触媒として、Dot to Dotを利用していただきたいな。と考えています。

官民共創で進める「個人データの連携と活用」

向井

これまでの話は、私たち自身でもある民間企業同士の共創という観点で、色々な活動や紹介をしてきましたが、「社会」と捉えた時に、民間だけの共創では足りないところもあるのではないか?と感じています。
そうした時に、官民連携をもっと促進していく事ができるかも知れない。と思うのですが、この可能性について、日下さんのお話を伺っていきたいと思います。

日下さん

はい。まさに官民連携や官民共創といった言葉を最近よく聞くようになりました。
コロナ禍になり、民間の役割と自治体や国の役割の再定義が進んできたのかな。と感じます。
その内の1つとして、自治体の窓口に行き、行政サービスを受ける……という、今まで当たり前に出来たことが出来なくなったことが、大きな理由だと思います。

僕たちxIDとしても、ここ2年くらい非常に注力して、自治体さんとの取り組みを行ってきました。
これは何故かというと、データとデータを結びつける際に、民間企業同士からスタートすると、いろいろなコンフリクトが発生する部分があります。そこで、「行政と民間」という、ある意味、対岸のプレイヤーと一緒に連携することで、自治体さんが率先して、マイナンバーカードを利活用していくことが可能になる訳です。

現在の行政サービスは、パーソナライズされていないですよね。例えば、行政の「データを活用する」という言葉が指すものは、データを活用して世の中の為になる、つまり、皆さん全員の為になる。という、全体最適のデータ活用とか政策の推進が、国や自治体の役割なので……。
「あなたの為だけに何かをしますよ。」とは、言い表せないのが、これまでの自治体であったと思います。

これからは、個人個人にとって最適な手続きを探さなくても、「あなたにパーソナライズされた手続きが、向こう(自治体など)から勝手に来る。」そういった事が、自治体に求められているのではないかと。
そういう意味でも、自治体さんたちが率先して、官民共創の音頭を取っていただくことで、今まで行政が開放してこなかったデータを活用した、サスティナブルなビジネスモデルを民間企業が作り、その地域の人たちに提供する。そんな事が起きていくと思います。
自治体DXの観点からも、デジタルIDやデータ連携を取り入れる官民共創というのは、非常に重要なテーマだと感じます。

xIDも、今まさに自治体・その他との連携は強化しています。
マイナンバーカードの活用・連携協定を結び、さらに、地域の企業さんを巻き込み、どうやってデータを活用していけるか?行政がどんなデータをオープンにしてくれたら、民間はビジネスができるのか?という課題を、それぞれが役割分担をする事で、まさに「共創」を目指しています。

僕たちは、デジタルIDを提供する1プレイヤーでしかないため、そこに乗っかってくる様々なサービスだったり、それを繋ぐデータ連携基盤だったり。色んなステークホルダーと一緒になって考えていく事が、重要だと考えています。

今、全国でもデジタルIDを使っている自治体さんは、トライアルを含めても、250を超えてきていまして。
この自治体さんから、マイナンバーカードを活用して官民共創、官民連携をやっていきたいんだ!という声も非常に多いです。そういう意味では、まだまだ民間企業側が、本気になっていないのではないか。と……

向井

なるほど。

日下さん

自治体さんは、既にたくさんの地域課題に気づいているのですが、そこに何かを売りに行くというよりは、何か一緒に創っていきましょう。という、共創のスタイルであって、企業さんが提案しに行く方が構えられずに、色んな取り組みができるのではないかな。と思っています。

実際、進んでいる取り組みとしても、行政、民間、それぞれ様々なデジタルIDを活用した取り組みがあります。
下の画像の中で下線があるものは、既に色々進んでいる取り組みです。これを見ると、民間企業側のユースケースがまだまだ少ない事が分かります。

行政側の取り組みが増えていく事で、民間企業側との掛け算も生まれ、そこがデータ連携の肝になると思います。一企業が、特定のサービスを創り・推進していくというよりは、行政側が旗振りになって、データ連携を推進していく事が、官民共創の重要なキーになると思います。

まとめ:企業とサービスが共に歩む世界

向井

ありがとうございます。
やはり、企業側のマインドが変わっていく事が、今、求められている事なんですね。

日下さん

そうですよね。

向井

私たちも、しっかりマインドを変えて取り組んでいきたいな。と思いました。
最後となりますが、いろんなサービスがあり、ひとりひとりの生活様式もあり、その中で、共に進んでいく所は、多分、1つのあるべき社会だと思います。

今回のセッションのタイトル「企業とサービスが共に歩む世界」に、大事な言葉が1つ抜けてたな……と、思います。
主語は、「人々」。
人々が安全安心で、健やかであり、そして、便利になる社会を創っていく為に、私たち企業と自治体、民間との連携が必要になってくる。まさに、そのエコシステムをどのように創るのかが、私たちにも求められてくると思いますし、同じ思いを持っている皆さまと、連携をし、共創していくことを実現していきたいと思います。
その為には、同じ目線で、同じ目指す社会観を持つ方々が、大いに対話する場・コラボレートする場が必要だと思っています。

私たちBIPROGYは、今回のセッションでもご紹介した、パーソナルデータをセキュアに流通することで、新しいUXを生み出し、価値を創り出す。そして、来たるべき将来の社会に貢献するプログラムを提供していきます。
それに加え、コラボレーションできる対話の場の提供。その中で、企業の皆さまと行政の方々も交えて、新しい価値を生み出していく活動にも、取り組んでいきたいと考えます。

日下さんと、より具体的な共創に向けて活動をさせていただきたいと思っていますし、BIPROGYも社会課題から目をそらさずに、また、共に創る共創に向けて、邁進していきます。
日下さん、今日はありがとうございました。

Youtubeで動画をご確認いただけます。

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