つながれば、社会は変えられる

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町と組み、稼いだ利益を地域に還元していく。さかいまちづくり公社が掲げる“地域公社”というあり方

茨城県にある人口2万4000人ほどの小さな町、境町。この町では、町民の足となる無料の自動運転バスが走り、国内にも数少ない五輪仕様の本格的なBMXパークや、アイスホッケーのグラウンドまで建っている。

土日ともなれば沖縄県国頭村の道の駅ゆいゆいと友好協定を結ぶ道の駅さかい内にあるアンテナショップ「沖縄県国頭村公設市場」に人が集まり、そこから少し歩けば特産の干し芋にこだわったカフェが隣接する境町ならではのものづくり施設がある。

これらのすべてが、町と連携して活動する「さかいまちづくり公社」が仕掛けたものだ。

彼らは行政主導のまちづくりとも、ボトムアップで町を変える民間の「地域商社」とも違った「地域公社」という在り方で、地域の内と外を繋げ、多くの企画を実現している。

なぜ「さかいまちづくり公社」はこれほどまでに地域を巻き込み、盛り上げるための事業を立ち上げ続けることができるのか?

株式会社さかいまちづくり公社代表の野口富太郎さんと、境町のノウハウを全国に広めるために活動する一般社団法人全国地域ビジネス協会の水井澄人さんにお話を伺った。

野口 富太郎

野口 富太郎

(のぐちとみたろう)

株式会社さかいまちづくり公社

代表取締役

一般社団法人全国地域ビジネス協会 代表理事。
株式会社野口徳太郎商店 代表取締役、境町観光協会 会長。

148年続く老舗茶舗代表としてお茶の新しい可能性の追求。また、地域貢献のためにさかいまちづくり公社を創業、社長に就任。道の駅さかい運営から、境町における観光事業をはじめ、ふるさと納税の推進等を大胆に改革し、新たなビジネスモデル構築や町全体の活性化を推し進めている。

水井 澄人

水井 澄人

(みずいすみよ)

一般社団法人全国地域ビジネス協会

専務理事

26年間の百貨店歴により広い分野の知識、技術を現場で体得。経営戦略全般から商品開発、販売促進、経営上の問題点に至る現場視点による指導には定評がある。 近年は地域活性化や道の駅づくり、新商品開発等にも大きくフィールドを拡げ、特に繁盛店づくりにおいては各地で大きな成果を挙げている。

地域に還元するために稼ぐ“地域公社”の役割

ここ数年、地域活性の担い手として「地域商社(※)」に注目が集まっている。地域資源を捉え直し、産業の再生を手助けし、「地域の稼ぐ力」を向上させる。人口減少が避けられない社会で、「稼げること」は地域の生き残り戦略において重要な要素だ。

※地域商社……地域の特産品や観光資源を活用した商品やサービスを、域外へ販売する企業

そんななかで「さかいまちづくり公社」がユニークなのは、自治体と民間が半分ずつ資金を出し合ってつくる地域商社の形を「地域公社」と名乗って活動していることだ。

「さかいまちづくり公社」が掲げる「地域公社」とは何か、伺った。

(右)さかいまちづくり公社 代表・野口富太郎さん。(左)全国地域ビジネス協会・水井澄人さん。

まず、「地域公社」について教えていただけますか?

野口さん

地方自治体である境町と、民間が50%ずつ資金を出し合って立ち上げた団体を、我々は「地域公社」と呼んでいます。

境町にある「道の駅さかい」は、もともと観光協会から外部の会社に委託をして運営をしていたのですが、地産地消を目指す中で連携が上手くいかなかったため、自分たちでの運営に切り替えることにしたのです。そこで、当時「道の駅さかい」に関わっていた人たちで資金を出して「さかいまちづくり公社」を立ち上げました。

「地域公社」として活動することのメリットはなんなのでしょうか?

野口さん

町と組んで活動することで、地域住民の方々からの信頼を得やすいのです。ただ、メリットはそれだけではありません。

ここからは「地域商社」と比較しながら話すと、伝わりやすいかもしれませんね。

多くの場合、地域商社は地域の銀行と民間企業が組んで立ち上げます。その目的は、「地域の民間企業の利益を大きくする」こと。

境町の場合は、銀行ではなく自治体と組んで団体を立ち上げた。その役割は、「稼いだ利益を町に還元していくこと」にあります。

「ふるさと納税」と「道の駅さかい」のダブル販売によって獲得した、人気商品や商品企画に関するノウハウを地域の事業者へと還元していく(提供・さかいまちづくり公社)
野口さん

「さかいまちづくり公社」は、新規プロダクトを出品したふるさと納税で大きな利益をあげています。そうして稼いだ利益は、境町を通して「町への投資」に活用されていくのです。

寄附額が上がれば上がるほど、地域に投資されていく。それは、境町のなかでさまざまな企画や施設がスピード感を持って実現されていくこととも関係があるのでしょうか?

野口さん

やはり、住民税などの「住民側が納める税金」を財源として使っていないというのは大きいですよね。ふるさと納税で集まった寄附金を境町に投資していくので、「私たちの税金をそこに使うの?」という批判の声も上がりづらい。もし「住民税を投資して新しい施設をつくる」なら、同じようにはいかないと思います。

投資先はどのように決まって、どのように地域に還元されていくのでしょうか?

野口さん

投資先は、公社側で考えて自治体に提案をしていきます。ただ、町長のなかに「境町でやりたいこと」の企画やアイデアのストックが山のようにあるので、それを町長から聞いて、公社のみんなでコツコツと実現に向けてどうやるか考えていく、という形です。

やはり「公の団体だからやりやすい」ということもあります。個人ではできないチャレンジが、町と組めばできるのです。

境町は長い間、予算の少ない貧乏な自治体でした。だからこそ「稼げて、地域に還元される」取り組みが必要だった。地域公社というやり方がマッチしたのだと思います。

「ふるさと納税が終わったあと」を見据えて、地域ブランドを生み出す

自治体と民間のハイブリッドなチームとして活動する同社。なかでも成果を上げているのが、茨城県の名産品であるさつまいもを使った、干し芋のプロダクトづくり。

ふるさと納税制度をあえてマーケティングの場として活用することで、境町の新たな名物を生み出した。2015年に6万5000円の寄付額からはじまったこの町のふるさと納税は、2022年には約59億5300万円を集めるまでになった。

さらにその取り組みは「新しい特産品作り」に留まらず、地元農家と協力し、工場を整備し、新たな産業へと育てようとしている。

行政の制度に依存せず、自走できる地場産業を作ろうとする活動について聞いた。

公社のプロジェクトのなかでも、ふるさと納税を核としたプロダクトづくりが印象的です。返礼品としてつくった「干しいも」は、あたらしい産業へと成長していますよね。

野口さん

ありがとうございます。ふるさと納税に出品する干しいもは、農家さんと協力してさつまいもを栽培し、工場を建てて生産体制を整えています。

なぜ、それほど人気の商品をつくることができたのでしょう?

野口さん

一般的に、ふるさと納税は地域にもともとある特産品を活かし、地域の魅力をより多くの人へ届けるための場として利用されていることが多いなと感じます。その一方で、境町はふるさと納税を“マーケティングの実験の場”として使ったことが大きいと思います。ふるさと納税のランキングを見て市場を分析し、売上が見込めるものに大きく投資をすることで商品のブランド化を目指してきました。

ただ、さつまいもは茨城県の名産ではあったけれど、境町でさつまいもを生産している農家さんはいなかったのですよ。実現には、農家さんの協力が必要でした。

地域の農家さんに、どのようにして協力を取り付けたのですか。

野口さん

需要があるとわかったので、農家さんたちには「さつまいもを栽培してくれれば、規格にかかわらず会社が全数買取をする」と約束したのです。そうすることで、安心してさつまいも栽培にチャレンジしてもらえたのかな、と考えています。

生産体制さえ整えることができれば、マーケティングは公社の方でできます。ふるさと納税だけではなく、境町にはリアルなマーケティングの場所として道の駅もあるので、そこで実際に足を運んでくれたお客さんの反応を見ることができるのです。ECとリアル店舗、ふたつの環境を行き来しながら、検証できたのも効果的だったと思います。

マーケティングを通して、地域にできることを探す。その反応を見る試験的な場として、ふるさと納税の仕組みを活用しているのですね。ふるさと納税に取り組むようになったきっかけは?

野口さん

きっかけとなったのは、2014年に就任した新町長の言葉でした。財政状況の悪かった境町が変わるために、「稼げる“株式会社境町”にしないといけない」と言われていて。より早く税収を増やす方法として、ふるさと納税に力を入れていくことを決めました。

しかし、ふるさと納税という制度自体はいつまであるものなのかわからない。制度が終わっても町が稼ぎ続けられないと、地域に還元することはできませんよね。そのためにも、愛される地域商品を生み出して、新しい市場をつくることが必要だと考えたのです。

ビジネス的な「稼ぎ続けるため」の視点と、関わってもらう地域の方々を支える公的な姿勢もある。そのバランスが境町のふるさと納税モデルを生んだのですね。

野口さん

そうですね。もし制度が終了しても、干しいもの製造工場をはじめとした生産体制を町に残せば、民間の産業として自走することができますから。

そして、何より私たちが大事にしているのは「新しいビジネスモデルをつくる」ということです。

野口さん

干しいもを製造する過程で、さつまいもの一次廃棄物が出ます。農家さんであれば畑に捨てて肥料にすればいいけれど、我々のような事業者の場合はお金をかけて産業廃棄物として処理しないといけない。処理に数十万円とかかってしまうのでは、大変なコストになってしまうのです。

境町では、これからこの一次廃棄物の再利用を行っていこうと検討しています。実際に食品加工の素材として「いもグミ」を新発売しているほか、アサヒビールと協力して器の制作にも取り掛かっているところです。また、この一次廃棄物を乾燥機に入れて粉砕することで、地域の養豚場で使ってもらえる飼料や、魚の餌として活用する予定もございます。

地域内で循環するモデルをつくるまでが、我々の考える「町の新しいビジネスモデルをつくる」ということなのです。

町に負担のない、持続可能なモデルを組み立てられていますね。それも、町の人たちの協力によって実現できる形を作っている。境町がとてもいいチームとして動いているように見えます。

「境町のような町が増えるといい」。成功ノウハウを横展開するために

マーケティングを駆使し、地域の新しい産業を生み出した境町のふるさと納税モデル。

水井さんが理事を務める一般社団法人全国地域ビジネス協会は、境町の積み上げてきた「稼げる地域になり、その利益を地域に還元していくノウハウ」を横展開し、自走できる町を少しでも増やすために生まれたそうだ。

そこにはどんな思いがあったのだろうか。

一般社団法人全国地域ビジネス協会のプログラムの会場となる「河岸の駅さかい」。建物の前に停まっているのは境町を走り回る自動運転バス

「全国地域ビジネス協会」では、境町が積み重ねてきた「ふるさと納税で新しい産業をつくるモデル」を学ぶためのプログラムを実施していますね。どんなきっかけで、プログラムをはじめることになったのでしょう?

水井さん

ふるさと納税モデルをはじめてから、多くの地方自治体の方々が境町に視察に来てくれるのですよ。年間200箇所以上の自治体や企業が視察にいらっしゃってます。

ふるさと納税から生まれたプロダクトや、新しい施設を見た方々から「どうすればこんなことが実現できるのですか」「学び舎はあるのですか?」と聞かれることがありまして。
そこで、境町のふるさと納税モデルを学べる短期プログラム「地域ビジネス大学院」を開校することにしたのです。

水井さん

当初は個人向けに「地域ビジネスプランナー」という資格をつくって講義をしていましたが、やっていくなかで「自治体向けに教えないと、本当の意味でモデルを横展開することはできない」と考えるようになりました。

現在は4月〜6月の春季、9月〜12月の秋季と年2回のプログラムを実施しています。座学では境町のふるさと納税に関する取り組みについて学んでもらい、その後、実際に自分達の自治体に帰って地元で地域公社立ち上げのために動いてもらう。
活動の核はやはりふるさと納税ですから、「どれだけ納税額を上げられるか」に取り組んでもらいます。実際に、前年度と比較して寄附金を約1.5倍まで上げたところもあるそうです。

すごいですね。ただ、「地域公社をつくる」と言っても簡単なことではないように思いますが。

水井さん

その通りです。だから我々が勧めているのは、「その自治体のプロジェクトチームとして『ふるさと納税×プロダクトづくり』をやる専門部隊を立ち上げる」ということ。

地域公社を立ち上げる上で難しいのは、50%の出資をしてくれる民間のパートナーを見つけることです。それは、100%民間資本になる地域商社でも同じこと。

だからこそ、既成事実としてふるさと納税を使ったプロジェクトの成功事例を作ってしまえば、「これはもう、地域公社として自走できるプロジェクトだ」と言える訳です。

いきなり地域公社を立ち上げなくても、自治体が背中を見せるというやり方もあると。町ごとにいろんな方法が考えられるのですね。

水井さん

何より大事なのは、全く同じモデルを別の町がそのまま真似することはできないということです。境町のモデルを学んで帰ってもらった上で、それぞれの町で「この自治体にできることは何なのか?」を考えてもらうしかない。

そうやって地域の魅力を見つけ、稼げるようになる境町のような地域が増えるといいと思っています。

「地域活性化=移住」ではない。町を面白くする外の視点

境町の魅力は、外部との連携にもある。地域住民からの理解を得ながら、何かをはじめる上で必要なプロフェッショナルを、外部から連れてくる。ただし、「活動をする以上は街に住んでほしい」とは言わない。多くの自治体が移住者を増やそうとするなか、境町に外部にいながら町に関わる仲間が増えていくのは、野口さんたちのバランス感覚のなせる技だった。

最後に、プロを受け入れ、スピーディーに事業を実現していくにはどのような試行錯誤と配慮があるのか、伺った。

公社の取り組み方を知った上で、やはり境町の事業を実現するスピードはとても早い印象です。なぜ実現できるのでしょうか?

野口さん

やはり、境町をよくするためのアイデアが町長からトップダウンで降りてくるからですね。「さかいまちづくり公社」のメンバーに電話1本で連絡があって、「これをこうしよう!」とすぐに相談や指示が飛んでくるのです。

それから、町長が町の総合計画をもとにしながら、時代に沿ったまちづくりのために動いていることも、理由の1つです。

どういうことですか?

野口さん

まちづくりには「総合計画」があり、基本的にはその計画をもとに整備がされていくものです。しかし、境町にはその計画にはない施設や事業が数多く生まれていくのです。

例えば東京五輪において、境町はアルゼンチンのホストタウンでした。アルゼンチン政府から、「選手が練習できるBMXパークを建設してもらえないか?」という要請があったのです。

そこで、日本でも珍しい常設のBMXパークを建設したところ、練習環境を評価したプロのBMX選手が移住し、練習のために全国から多くの選手が訪れるようになりました。

同じく要請により建設を決めたアイスホッケーの施設も、今では人を集める場所になっています。五輪仕様で常設のホッケー場なんて日本国内には少ないので、プロチームの合宿先としての需要が生まれたのです。

このように、一見すると総合計画を無視しているように見えるかもしれません。しかし「境町に関わってくれる人を増やす」という大きな目的からみると、結果に結びついているのです。

水井さん

ただ、こうした取り組みには、地方創生交付金の活用も必要です。実はここにも、境町のキーマンがいるのですよ。

キーマンというと?

水井さん

交付金を取るためには、なぜ町にその施設が必要なのか、どう活用されていくのか、といった文脈とストーリーを企画書・提案書に落とし込む必要があります。それを書ける書き手が境町に関わっているのです。

今までの文脈をすべて知っている書き手がこうした文書をつくっているからこそ、町のストーリーが分散することがないのです。

自由にやっているようでいて、1つ1つの取り組みがきちんと「町へ還元」されていく。そのストーリーを見える形にすることも重要なのですね。

商品づくりやプロジェクトには、地域外に暮らしている各領域のプロフェッショナルの方々も関わられていますよね。地域内で完結させず、多くの町外の人を巻き込んでいるのは意識してのことですか?

水井さん

そうですね。私自身、境町ではなく茨城県の鹿嶋市を拠点としていますが、やはり「境町の活動をする=住む」となると、関わる上でのハードルが上がってしまう。でも、何か面白そうなことが起きている街に『通って関わる』ことならできると思うのです。

そうして町を訪れてくれた人から学ぶこともまた多いです。「公社」という公の存在、自治体に近い存在だからこそ、繋がった時に多くのことを教えてもらえるのです。他の自治体の人からも、民間企業の人からも。

「さかいまちづくり公社」は公的な仕組みをうまく活用しながらも、やはりどこか「人対人」のつながりを大事にしていますよね。どうしてそこまで繋がることができるのでしょう。

野口さん

境町が貧乏な自治体だったからこそ、1つのご縁を必ず次に繋げようとする姿勢があるのです。だからこそ、私たちが本気だという姿勢を見せないといけない。他の町を視察にいく時には、境町の町議会議員を全員連れていって視察をすることもあるのですよ。

本当に多くの人が関わって、企画を実現させているのですね。野口さんはどうしてここまで境町のために動いて、ここまで人を巻き込むことができるのでしょう?

野口さん

僕自身、境町で何代も続くお茶屋の後継者なのです。ずっと商売人としてこの地域で生きてきました。現在の町長が選挙に当選したときに「観光協会長になってくれ」と言われたことをきっかけに、町のことに関わるようになりました。

それまで「地域貢献」について真剣に考えることもなかったし、難しいこともありましたよ。それこそ、商工会など地域の方たちとも今のような関係を最初から築けていたわけではありませんから。

地域の方々とはどのように関係性を築いていったのですか?

野口さん

境町には、3万発打ち上げる花火大会があるのですよ。その実行委員長を担当したり、無事に終わった後の打ち上げでしっかり皆さんと時間を過ごしたり。こういうのは理屈じゃないのですよ。人としてぶつかることで、人と繋がってきた。

そうしたら、一緒にいて楽しいから人が集まってくれるようになって、頼んだら協力してもらえる体制ができてきたのです。

関わる人たちと正面から向き合う、野口さんの人柄でもありますね。誰かとコミュニケーションをとる上で、意識していることはあるのでしょうか?

野口さん

僕は、人と接する時は全てにおいて50:50(フィフティーフィフティー)で接しようと心がけているのですよ。偉い人とだって、1対1ならできるだけ対等になったつもりで、友人と話すときのような笑顔で接する。そうすると相手からも受け入れてもらえるのです。

偉くなればなるほど、目の前の人が本気で話しているかどうかなんて、分かりますからね。だから、人としてぶつかることが大事なのです。

Planning:
Writing:
Photograph:
乾 隼人

writer

乾 隼人

次々と新しいことが起こり、地域住民に受け入れられていく境町のうわさを耳にしたときは、「なぜそんなことができるんだろう?」と不思議でした。

たくさんの人が暮らす「町」という単位になると、合意形成をとるのは極端に難しくなるはず。「いい町になるといいね」という思いは同じでも、みんなが同じ「いい町」をイメージしているとは限らないからです。

ただ、境町の場合は、「地域の人たちを頼りにする」ことと、「自分達で独立してやる」こと、「町の看板を借りてやる」ことのバランスが絶妙に保たれているからこそ、町に新しい施設や企画を生み出していくことができているのだと感じました。

地域の人たちと宴会で顔を突き合わせ、信頼関係を築き上げながら、「地域が潤った」「賑わいが生まれた」という結果をスピード感を持って見せていく。

真っ直ぐに相手とぶつかる人間臭さと、公的なサポート、ビジネス的な思考、どの要素も抜け落ちていないから、「人を巻き込める」境町が生まれているのだと、感じました。

竹内 良輔

planning

竹内 良輔

BIPROGY株式会社

ご縁があり、2023年5月に初めて境町を視察させてもらいました。

私たちがこれまで訪問した地域視察でもっともインパクトがありました。

BIPROGYでは、これまで「かせぐまちづくり」をキーワードとした多くの取り組みを実施してきましたが、実際のところ”かせぐ”アプローチに大きな課題を感じていました。

その後、境町の地域公社モデルを野口さんや水井さんから直接学び、このモデルを全国に展開すべく、私たちも提案活動を開始しています。

境町が培ってきた素晴らしいノウハウに、BIPROGYの持つデジタルの力を掛け合わせることで、よりよい地域公社モデルを作っていきたいと考えています。

岡田 浩二

planning

岡田 浩二

BIPROGY株式会社

現地の視察で伺った内容で印象的だったことは、「自治体だからできること」「民間企業だからできること」で互いの得意な部分を活かし地域に還元し、その循環を拡大していく考え方でした。今まで共創を掲げ地域で様々な挑戦をしてきましたが、今一つ突き抜けなかったことに対する解がそこにあったと感じたからです。

今回のご縁が新しい切り口となり境町に集まる人々とつながれたことにより、地域活性化を言葉だけでなく継続して実践していくための活力をいただきました。

私と同じような課題を抱えている人にとっては、今回の記事が一歩踏み出すための切っ掛けになればと期待しております。

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