Dot to Dotのプラットフォームを活用した新たなプロジェクトがスタートします。その名も「DiCE(Digital Chain Ecosystem)」。ここでは、データ連携を活かしたオープンイノベーションによって、実際に複数の企業とともに事業創出を目指していきます。
このプロジェクトの本格的なスタートに伴い、2022年10月18日にDiCE運営事務局と参画企業によるキックオフイベントを開催。今回は、その様子をご紹介します。
企業共創による新たな価値創出に挑む「DiCE」プロジェクト
分散型企業間データ流通基盤Dot to Dot。生活者のパーソナルデータについて、事業者間で直接かつ必要な時に・必要な相手と連携する……そのようなことを可能にするプラットフォームを提供しています。
しかし、Dot to Dotは、あくまでツール。目的は、データを企業間で流通させることで新しい価値を創出することにあります。
そこで、2022年Dot to Dotをひとつの触媒として企業同士の共創を生み出すプロジェクトを立ち上げました。それが「DiCE(Digital Chain Ecosystem)」です。
DiCEは、特定の企業とともに「注力したいトピック」や「解決したい社会課題」などの中からテーマを定め、オープンイノベーションの方法論で新たな事業を創出していくプログラム。日本最大級のオープンイノベーションプラットフォームやオープンイノベーションに特化したハンズオンコンサルティングを手掛けるeiicon companyとともに、事業創出に向けて伴走していきます。
まずは事業創出の核となるホスト企業を募集するところからスタート。
その後、およそ1年ほどかけて、それぞれのテーマを策定し、コンセプトをつくり、共創するスタートアップ企業などを一般公募・選定したのち実際に事業創出に向けて取り組んでいきます。
2022年10月現在、ホスト企業として、あいおいニッセイ同和損保、朝日生命、日本航空の3社の参画が決まっています。
そして、10月18日、都内にてDiCE事務局となるBIPROGY、eiicon company、そしてホスト企業の3社が集まり、キックオフイベントが開催。プロジェクトが本格的にスタートしました。
ここからは、このキックオフイベントの様子をレポートします。
参画企業と事務局が集まった、キックオフイベントを開催!
会場となったのは、THE GRAND GINZA。
和とモダンが同居する洗練された空間で、イベントは実施されました。
会の冒頭では、BIPROGYの業務執行役員兼戦略事業推進第二本部本部長・千葉 真介があいさつ。BIPROGY社内で新規事業開発を推進している目線からコメントしました。
「ここ数年、オープンイノベーションの取り組みが活況を呈しています。ただ、実際に成果を生み出しているかというと、まだまだ課題は残っている。だからこそ、みなさんと一緒に議論しながら、そこにチャレンジしていきたいと思っています。
これまでBIPROGYは、IT企業でありながら、カーボンニュートラルという社会的なトピックを踏まえてオフィスを木質化するビジネスを立ち上げて子会社までつくりました。また、金融分野では、さまざまな事業者と連携してデジタルキャッシュ事業もスタートさせています。そのような経験を踏まえつつ、みなさんに伴走していければとおもっているところです」
つづいて、eiicon companyの中村亜由子代表が登壇。オープンイノベーションのプロフェッショナル集団としての知見を踏まえて話します。
「オープンイノベーションとは、2003年にハーバード・ビジネス・スクールのヘンリー・チェスブロウ助教授が提唱したイノベーションの方法論。私たちは、このオープンイノベーションを日本全国に広めていくために活動しています。
ただ、日本国内においては法律の整備が追いついていないために、データ連携が関わるオープンイノベーションは一気にハードルが上がってしまう。これまで私が見てきたスウェーデンやドイツ、フランスでは高齢者の方も含めて、みんながデジタルデータを連携していました。オープンイノベーションへの取り組みやすさでは、まだまだ日本は世界に遅れを取っています。
しかし、その中でもDiCEは国内ではハードルが高いパーソナルデータの連携を前提にした取り組み。この貴重な可能性を活かせるように、eiicon companyも尽力していきたいと考えています」
その後、DiCEに参画する3社のホスト企業からもコメントをいただきました。
まず、あいおいニッセイ同和損保の経営企画部デジタルビジネス開発グループ・猪俣雄太氏が話します。
「金融業界は、他業界からデータの宝庫だと見られることがあります。しかし、データ連携に関していうと、他社同士はおろか自社内ですら、まだまだ課題は山積しているのが現状です。だからこそ、私たちは、この業界における“ファーストペンギン”となって、損保業界をゲームチェンジしていきたいと思っています」
次に、朝日生命よりASAHI DIGITAL INNOVATION LAB所長・吉永明史氏が登壇します。
「朝日生命では、2020年に次世代の保険事業を創造する取り組みとして、ASAHI DIGITAL INNOVATION LABを立ち上げました。LABの発足により、当社でデータドリブンマーケティングの開発が本格的化するなど、すでにデータの重要性を強く感じているところです。データ連携を軸にした、このプロジェクトで新たな可能性が拓ければと思っています」
そして、日本航空からはデジタルイノベーション本部 事業創造戦略部部長・飯山 高広氏が展望を語りました。
「私たちの本業は航空輸送。しかし、コロナ禍を経て新規事業にも注力するようになっています。そのうちのひとつがMaaS(Mobility as a Service)事業。このDiCEを通じて、MaaSの取り組みを進化させて、価値創造を行っていきたいと思います」
その後、DiCE事務局より、これからのフローをお伝えしたのち、懇親会へ。
和気あいあいとした雰囲気の中、参加者のみなさんは、お互いのビジネスについて情報交換をしていきました。
約1時間半の懇親会では、会場のあちこちで活発に交流が行われ、まだまだ話したりない参加者も多くいたほど。
そして、あっという間に時は過ぎ、最後にeiicon companyの村田 宗一郎氏が締めのあいさつを行い、会は幕を閉じました。
日本において企業間データ流通まで踏み込んだ価値創出の成功事例は乏しく、実現するための仕組みも少ないのが実情です。
DiCEは、その現状に風穴を開けることが期待されるプロジェクト。データ連携を基軸とした、企業連携による新たなビジネス創出を目指していきます。
DiCEのこれからの展開にどうぞご期待ください。